この記事でわかること
- 感覚過敏やノイズが辛いときの当事者の体験
- 私が試した工夫の種類と使い分け
- 職場で工夫を取り入れるときの注意点
- 道具だけでなく環境調整も大切という気づき
この記事の結論は、
音の困りごとは「完全に消す」より「場面と調子で使い分ける」という考え方が大事だということです。
はじめに
音の感覚過敏は、音自体に耐えられなかったり、集中できなかったり、疲れやすいと感じることがあります。
私は、音そのものの痛みや苦痛よりも、
- 集中が切れたり、
- 作業が止まってしまったり、
- 疲労が溜まりやすくなる
といった「機能面の困りごと」が出やすいタイプだと感じています。
また、外の環境音はもちろん、学校・職場の音など、他の人が気にならない音でも、
- 強く響いて集中が途切れることや、
- 落ち着かないこと、
- 疲れ切ってしまうこと
がありました。
今は日常生活の中で、音そのものを「耐えられないほど」苦痛と感じる場面は多くありません。
苦手な音は意識的に避けている影響もあるかもしれません。
ただ、小さい頃の話として、家には金属製のスプーンやフォークがなく、不思議に思っていました。
後から聞くと、家族が金属音に耐えられないことが理由だったそうです。
この記事では、私がこれまで試してきた工夫と、その使い分けについて整理します。
※当事者視点の整理です。診断や治療を代替できません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
感覚過敏やノイズの感覚
私は、どちらかというと「強い感覚過敏」より、感覚鈍麻のほうが生活上は気になるタイプです。
感覚鈍麻があると、疲労そのものに気づきにくいことがあると、私は理解しています。
音による刺激が積み重なっていても、「疲れている」という自覚が遅れて、気づいたときにはふらふらになっていることもありました。
一方で、明確に苦手で避けている音もあります。
身体の内側から寒気がするような音など、特定の質感の音は強い不快感につながりやすいと感じています。
こういった音については、後の章で具体的に触れます。
家族は金属音がそのタイプなのですが、私は金属音は平気です。
同じ家庭の中でも苦手な音がまったく違うので、感覚過敏といっても「みんな同じ音がつらいわけではない」と感じています。
私が困りやすい音のパターン
音の困りごとといっても、どんな音でどう困るかは人によって違うと思います。
ここでは、私自身が特に困りやすいと感じている音のパターンを、いくつかに分けて整理してみます。
継続する環境音
エアコンや換気扇、冷蔵庫のモーター音、パソコンのファン音など、ずっと鳴り続けている音です。
私は集中する場面で、いつの間にかこれらの音に意識が向いてしまい、やるべきことから注意が逸れていることがあります。
気づくと「音ばかり気になって、作業が全然進んでいない」ということもありました。
予測できない不規則な音
誰かの咳やくしゃみ、椅子を引く音、ドアの開閉音、足音など、いつ鳴るかわからない音です。
私は、小さい音でもそちらに注意が向いてしまい、大きい音だと突然のことで驚いてしまうことが多いです。
「次にいつ鳴るかわからない」という点が、緊張の原因になっている感覚があります。
複数の音が混ざる環境
飲食店のガヤガヤした話し声や、駅や商業施設でアナウンスと人の声が重なる場面、テレビの音と家族の会話が同時に流れているような状況です。
私はこうした環境だと、他の人の声が聴きとれなかったり、言葉をまったく違う意味で聞き間違えてしまうことがあります。
「情報が入りすぎて、選びきれない」ような状態になりやすいです。
公共空間や移動での音
駅、スーパー、電車やバスなど、人が多い場所や移動中の音です。
これらの場所では、継続音・不規則音・複数音が同時に起きやすく、私にとっては少しややこしい環境です。
一つひとつの音で強い困りごとがあるわけではありませんが、「人の多さ」「情報量の多さ」と組み合わさることで、スーパーなどは疲労で限界になりやすい場所の代表でした。
朝礼で立っていられなくなる日があったり、旅行でくたくたになって気づかず落とし物をしたりと、疲労の蓄積に気づきにくいことも困りごとの一つだと感じています。
特定の質感の音
私が特に苦手で避けている音は、身体の内側から寒気がするようなタイプの音です。
「キュッキュッ」とした感じの音がすると、全身がぞわっとしてしまい、その場から離れたくなることがあります。
文字で書いているだけでも、そのときの不快感を思い出してしまうので、あまり言葉にもしたくない種類の音です。
もともと私は、その状況を「触るのが苦手だから」だと思っていました。
しかし、あるとき耳をふさいでみたところ、かなり楽になりました。そこから「これは音の問題でもあるのだ」と気づきました。
それ以来、そうした場面では、イヤーマフや耳当てなどで耳を軽く覆っておくと、辛さがかなり軽減されることが増えました。
音が気になると何が起きるか
音が気になり始めると、作業の内容が頭に入りにくくなります。
文章を読んでいても
- 内容がまったく入ってこなかったり、
- そちらに気を取られて手が止まってしまったり、
- 終えたはずの作業を何度もやり直している
ことがあります。
私の場合、「手に力が入らないときの感覚が頭の中で起きている」ような錯覚があり、作業が前に進まない感じになります。
何度も同じ箇所を読み直したり、簡単なミスが増えたり、余計なエネルギーを使ってしまうため、気づいたときにはぐったりと疲れ切っていることも少なくありません。
私が試した工夫の種類
ここからは、私が実際に試してきた工夫を、いくつかのタイプに分けて紹介します。
音を小さくする道具
もっとも単純な方法は、「耳に入ってくる音を全体的に小さくする」工夫です。
耳栓や、イヤーマフ(防音用のヘッドホンのようなもの)があります。
睡眠時や、集中して作業したいときに使うと、全体的な音の刺激が和らいで楽になりました。
ただし、音全体が小さくなるので、当然ながら会話も聞こえづらくなります。
人とやりとりする必要がある時間帯や職場では、そのまま使うのは難しい場面もありました。
継続音だけを減らす道具
音全体を下げるのではなく、「環境音を中心に減らし、人の声は比較的聞こえやすい」とされる道具もあります。
いわゆるデジタル耳栓のような機器です。
私が使ったものでは、エアコンや換気扇といった継続音に特に効果を感じました。
同僚の呼びかけにはある程度気づけるので、仕事中にも使いやすいと感じました。
完全な無音になるわけではなく、「少し音が残っても大丈夫」という場面に向いていると感じています。
音でマスキングする
周囲の音が気になるとき、あえて自分で別の音を流すことで、ごちゃごちゃしたノイズが目立ちにくくなる場合もあります。
音楽を小さめの音量で流したり、雨音やホワイトノイズなどの環境音を流したりします。
歌詞が気になってしまう日は、雨音やホワイトノイズなどの単調な音を選びます。
逆に、単純作業のときは、テンポのある曲の方がやりやすいこともありました。
自分でオン・オフを決められる音があることで、「いつ鳴るかわからない周囲の音」に振り回されにくくなる場面もありました。
使い分けの気づき
その日の調子で変える
同じ道具でも、その日の調子によって快適さが変わります。
調子が悪い日は、少しの音でも気になることがあります。調子が良い日は、多少のノイズなら気にならないこともあります。
私の場合、調子が悪い日は、遮音性の高い耳栓やイヤーマフのほうが落ち着きました。
逆に、調子が良い日は、マスキングだけで十分なこともあります。
「昨日は大丈夫だったのに今日はだめ」ということもあるので、体調やメンタルの状態も含めて、その日のコンディションを基準に調整しています。
場面で変える
同じ道具でも、使う場面によって向き・不向きがあります。
睡眠時には、音全体を小さくする耳栓やイヤーマフが役立ちました。
室内では、継続音だけを減らすデジタル耳栓が使いやすいと感じました。
移動中は、マスキング用に、環境音や音楽をイヤホンで小さめに流すことが多かったです。
「この道具さえあれば完璧」というものはなく、複数の工夫を組み合わせながら、場面によって使い分けることで、生活のしんどさが少しずつ減っていきました。
工夫が合わないこともある
同じ道具でも、人によって合う・合わないがあります。
私は耳栓が比較的合いましたが、耳の圧迫感が苦手で使えない人もいます。
マスキングのための音楽も、音が増えることで余計に疲れるという人もいると思います。
「これが正解」というものはないので、試してみて合わなければ、別の方法を探すくらいの感覚でいる方が自然だと感じています。
職場で工夫を取り入れるときの注意
周囲との共有
職場で遮音の道具を使うときは、事前に理由とルールを簡単に共有しておくと、お互いに安心しやすくなります。
例としては、次のような伝え方が多いです。
「集中作業のときに音が気になるため、耳栓を使っています。対応が必要なときは外しますので、声をかけてください。」
何も説明せずに使い始めると、「話しかけても反応しない」「わざと無視しているのかもしれない」といった誤解につながる可能性もあるため、簡単に一言共有しておくとトラブルを減らせると思います。
安全面の確認
安全上の合図(特に移動や機械操作がある職場)に気づける状態を保つことは、とても大切です。
職場によっては、遮音の道具そのものが安全管理上NGとなっている場合もあるので、実際に使う前に上司や安全管理担当者に確認しておく必要があります。
私は、「できれば呼びかけには気づける程度の遮音にとどめる」というルールで運用していました。
職場のルールや安全基準は業種によって大きく異なるため、この記事の内容はあくまで一例として読み、「最終的には職場の規定や指示を優先する」ことが前提になると思います。
完全に聞こえなくするリスク
耳栓とイヤーマフを重ねて使うと、周囲の音がほとんど聞こえなくなることがあります。
職場でこの状態になると、呼び出しに気づけなかったり、注意喚起の声が届かなかったりといったリスクが高くなるため、使える場面はかなり限定的です。
私は、自宅や在宅勤務のとき、あるいは個室で作業していて周囲とやりとりがほとんどない状況など、「安全面で問題が少ない場面」にだけ重ねがけを使うようにしています。
道具以外の工夫
環境を調整する
道具だけでなく、作業場所そのものを変えることも、一つの方法だと思います。
音が響きにくい部屋に移動したり、人通りの少ない席や壁際の席を選んだり、静かなスペースが用意されていれば、そこを活用したりします。
こうした工夫をすると、耳栓などを使わなくても、負担がかなり減ることがありました。
休憩を増やす
音の刺激にずっと耐え続けるのではなく、定期的に静かな場所で休憩を取ることも大切だと感じています。
私だけかもしれませんが、短時間でも耳を休ませる時間を挟むと、その後の集中力が少し回復しやすくなりました。
「一気に長時間がんばる」のではなく、こまめに離席して耳と頭を落ち着かせるほうが、結果として仕事や勉強が続けやすいと感じています。
時間帯や体調で変わる
同じ音でも、体調や疲れ具合によって、気になり方が変わります。
朝は気にならなかった音が、午後になると急に負担に感じ始めることがあります。
前日は平気だったのに、今日はなぜか辛い、ということもあります。
こうした変化はよくあることだと感じています。
「いつも同じ対応を続ける」のではなく、そのときの体調や疲れ具合を見ながら、
- 「今日は耳栓を使う」
- 「今日はマスキングだけにする」
- 「今日は何もしない」
といった形で、その都度調整するのがちょうどよいと感じています。
完璧を目指さなくていい
すべての音をシャットアウトする必要はないと、私は思っています。
「少し楽になった」「さっきより集中しやすくなった」という程度の変化でも、積み重なると生活のしんどさがかなり違ってきました。
無理に工夫を続けるよりも、
- 「今日はこの方法はしんどい」と感じたらやめる、
- 「今日は何もしない」日を作る、
といった柔軟さも大事だと思います。
感覚過敏に限らず、対策そのものが負担になってしまうと、本末転倒になりやすいと感じています。
まとめ
- 感覚過敏でノイズが辛いときには、音を小さくする・継続音を減らす・マスキングするなど、いくつかの工夫がある
- その日の調子と場面に合わせて使い分けることで、しんどさが少しずつ減っていく
- 職場で使うときは、周囲への共有と安全面の確認が大切、職場のルールや指示を優先する必要がある
- 道具だけでなく、環境調整や休憩なども有効な手段になりうる
- 完璧を目指すのではなく、「少し楽」を目標にした方が続けやすい
感覚過敏の困りごとは、一つの方法だけで完全に解決するのは難しいと感じています。
いくつかの工夫を組み合わせながら、「自分にとって無理のない形」を少しずつ探していくのが、ちょうどよいバランスなのではないかと思います。
困ったときの相談先(公的機関)
- 「各自治体の発達相談窓口」→「※お住まいの自治体の公式サイトをご確認ください」
- お住まいの福祉相談窓口では、発達特性に関する相談や支援の案内が受けられる場合があります。
- 「発達障害者支援センター」→「https://www.rehab.go.jp/ddis/」
- 特性に基づく相談ができ、生活・家族・就労など幅広い支援に対応しています。
※当サイトはこれらの運営団体とは直接の関係はありません。また、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。

