「ASD理解」多感覚統合

多感覚統合とは?|発達障害との関係とASD当事者の気づき

複数の情報を積み重ねる作業を表す人物のイラスト。多感覚統合や同時処理のイメージとして、箱を順に積み上げている場面 「ASD理解」
この記事は約4分で読めます。

この記事でわかること

  • 多感覚統合(MSI)の基本的な考え方
  • ASDとの関わり方として見える困りごとの例
  • 当事者として感じた「同時処理の苦手さ」や日常での影響
  • 改善するときの基準を「自分比」で捉える重要性

この記事の結論は、

多感覚統合の苦手さは「感覚そのもの」だけでなく「複数の情報をまとめる負荷」として現れやすく、ASD当事者は自分の過去の状態と比較しながら工夫を積み重ねることが大切だということ、といった整理です。


はじめに

多感覚統合(MSI)は、複数の感覚情報を脳の中でまとめる働きです。

この記事では、その基本的な考え方と、ASD当事者としての気づきを整理します。

臨床の分野で使われる「感覚統合(SI)」と、神経科学や心理学で使われる「多感覚統合(MSI)」は意味が少し異なります。本記事では、MSIを「視覚や聴覚など複数の感覚情報を脳でまとめる働き」として扱います。

※当事者視点の整理です。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。


多感覚統合とは?

多感覚統合とは、人間が「視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚」といった複数の感覚から得られる情報を、脳の中でまとめて処理する働きのことです。

また、「前庭感覚(バランス)」や「固有感覚(身体の位置・力の加減)」も統合の対象になります。

  • 相手の声を聞きながら表情を見る
  • 料理の香りを感じながら見た目から食欲を判断する
  • 段差を視覚で確認しつつ、足裏の感覚でバランスを取る

こうした行動は、多感覚統合が適切に働くことでスムーズになります。


発達障害との関係

発達障害のある人の中には、この多感覚統合に関連した特徴が見られることがあります。

  • 感覚過敏・鈍麻
    • 光や音に反応しやすかったり、逆に痛みに気づきにくいことがあります。
  • 感覚の組み合わせの難しさ
    • 視覚と聴覚を同時に使う場面で注意が一方に偏り、もう一方の処理が抜け落ちやすいことなどがあります。
    • 例:授業で板書を見ると先生の声が取りづらい/会議で資料スライドに集中すると発言内容が入りにくい。
  • 行動・社会的やりとりへの影響
    • 騒がしい場所では相手の表情や声の抑揚が取りにくく、コミュニケーションに負荷がかかる場合があります。

多感覚統合がうまくいかないと、日常生活のあちこちで「困りごと」として現れるのです。


ASD当事者の私の気づき

私は感覚過敏と感覚鈍麻の両方があり、さらに同時処理が苦手なため、体を動かす協調運動も難しいことがあります。こうした特徴は、発達障害として日常生活の困りごとに直結することが多いと感じています。

一方で、これを違う視点から捉えると「多感覚統合の難しさ」として理解できるのではないかと思います。感覚の処理がスムーズにまとまらないために、動作や行動がぎこちなくなるのです。

ただし、この苦手さには工夫できる部分もあります。例えば、

  • 感覚をひとつひとつに分けて動作を練習する
  • 「見る」「聞く」など特定の感覚に意識して動かしてみる

といった方法を繰り返すことで、ある程度は改善されることがあると思います。

大切なのは「普通の人と同じようにできること」を基準にするのではなく、「以前の自分より、できることが増えた」という基準で考えることです。


まとめ

この記事では、多感覚統合の考え方と、ASD当事者としての気づきを紹介しました。

  • 多感覚統合は、生活に欠かせない感覚処理の基本的な働き
  • 発達障害では、この統合がスムーズでないために困りごとが起こることがある
  • 改善の基準は「普通に近づく」ではなく「以前の自分よりできることが増えたか」が大切

「自分なりの目標の基準」を持つことが、日常の困りごとに向き合う上で、大きなヒントになると思っています。

苦手さを単に「苦手なこと」と片づけず、「多感覚統合が苦手かもしれない」という視点で見直すことは、具体的な工夫や練習につながるかもしれません。



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