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この記事でわかること
- 感覚過敏があるからといってASD(自閉スペクトラム症)とは限らない理由
- 感覚過敏と感覚鈍麻が混在するのがASDに多いとされる背景
- 感覚過敏のみ見られるケース(HSPやうつ病、不安障害など)との違い
※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
はじめに
「音が大きすぎて苦しい」「光がまぶしすぎて目を開けていられない」──このような感覚過敏の悩みを耳にすることは増えてきました。
一方で、「感覚過敏がある=ASD」と誤解されることも少なくありません。
実際には、ASDに限らず、HSP(繊細な気質)や不安障害、うつ病などでも感覚過敏は起こります。
しかしASDの特徴としてしばしば指摘されるのが、「感覚過敏」と同時に「感覚鈍麻」も見られることです。
この記事では、感覚過敏と鈍麻の出方を整理し、ASDに多いパターンとそうでない場合を比較していきます。
感覚過敏とは?
感覚過敏とは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の刺激に対して、一般的よりも強く反応してしまう状態をいいます。
例としては以下のようなものがあります。
- 聴覚:人混みのざわめきや食器の音が痛いほど不快
- 視覚:蛍光灯のちらつきや日差しがまぶしすぎる
- 触覚:服のタグやセーターのチクチクが我慢できない
- 嗅覚:洗剤や香水の匂いで気分が悪くなる
- 味覚:特定の食べ物の味や舌触りが強すぎて食べられない
感覚過敏は病気ではなく「状態」であり、誰にでも一定程度は起こり得るとされています。
感覚鈍麻とは?
感覚鈍麻は、逆に刺激に気づきにくい、あるいは反応が弱い状態を指します。
ASDの診断基準でも「過敏/鈍麻、または異常な関心」と並べて記載されています。
例としては:
- 痛み:転んでも出血しても気づかない、反応が薄い
- 温度:暑さや寒さに鈍感で、体調を崩してから気づく
- 満腹感:お腹いっぱいなのに食べ続けてしまう
- 音:大きな物音に無反応だが、小さな特定の音には敏感
ASDに多いのは「過敏と鈍麻の同居」
ASDの人の感覚特性は「アンバランス」であることが多いです。
- ある感覚には極端に過敏
- 別の感覚には鈍麻
こうした「混在」がASDに特徴的とされます。
幼少期から一貫して続き、生活全般に影響することも少なくありません。
ASD以外で見られる感覚過敏
一方で、発達障害がなくても感覚過敏は見られます。
- HSP(Highly Sensitive Person):気質的に五感が鋭い
- うつ病や不安障害:体調やストレスで過敏が強まる
- PTSD:特定の刺激に過敏に反応する
- 一般的な人でも、体調不良時に匂いや光が辛くなることがある
これらの場合、「過敏に偏る」ことが多く、鈍麻は目立ちにくい傾向があります。
比較表:ASDと非ASDの感覚特性
項目 | ASDに多い傾向 | ASD以外に多い傾向 |
---|---|---|
出方 | 過敏と鈍麻が混在し、アンバランス | 過敏に偏ることが多い(傾向) |
経過 | 幼少期から一貫して続く | 一時的・体調や環境で変化 |
強さ | 生活に強く影響しやすい | 不快だが耐えられることも多い |
典型例 | 音には過敏、痛みには鈍麻 | 光や音に敏感だが痛みは普通 |
ASD当事者の気づき
私は仕事中に、大切な領収書がいつの間にか血まみれになっていたことがありました。自分ではケガをしたことに気づかず、あとになって初めて出血していたと分かったのです。
また、体の内側の感覚(臓器感覚)についても、私は鈍感さを感じることがあります。詳細は省略しますが、ASDの人にはこのように「体の不調や内臓からのサインに気づきにくい」ことが見られる場合があるそうです。
感覚過敏だけが注目されやすいですが、実際には「痛みや体の感覚に鈍い」という側面もあるのだと実感しています。
まとめ
- 感覚過敏はASDだけのものではなく、HSPや気分障害などでも起こり得る
- ASDでは「過敏と鈍麻が混在」するアンバランスさが特徴的
- 非ASDの感覚過敏は「過敏に偏る」ことが多い
- 診断の決め手にはならないが、理解の補助線として考えると役立つ
必ずではありませんが、「感覚過敏」と「感覚鈍麻」、両方が同居しているかの違いはあると思います(個人差あり)。