※本記事は広告(PR)リンクを含みます。
はじめに
「HSP(Highly Sensitive Person/ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれません。
心理学者エレイン・アーロン氏が提唱した概念で、「非常に感受性が高く、刺激を受けやすい人」を指すとされています。
一方で、医学的な診断名ではなく、臨床心理学の用語や自己理解の枠組みとして語られることが多いため、インターネットや本によって解釈がさまざまです。
ASD(自閉スペクトラム症)の当事者である私自身も、最初は「自分はHSPなのか?ASDなのか?」と混乱した時期がありました。
この記事では、HSPとは何か、ASDとの違いや重なる部分はどこなのかを調べてまとめてみます。
※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
HSPとは?
- 米国の心理学者エレイン・アーロン氏が1990年代に提唱
- 「非常に敏感な気質を持つ人」を指す
- 人口の約15〜20%程度いるとされる
- 医学的診断名ではなく、性格的・気質的な概念
HSPの4つの特徴(DOES)
- Depth of processing(深く処理する)
物事を人一倍じっくり考え込みやすい。 - Overstimulation(刺激に圧倒されやすい)
騒音・人混み・強い光などに疲れやすい。 - Emotional reactivity and empathy(感情反応と共感性の強さ)
他人の感情に敏感に反応しやすい。 - Sensitivity to subtleties(微細な刺激への感受性)
小さな変化や細部に気づきやすい。
ASDとの違いと共通点
HSPとASDは混同されやすいですが、背景や定義には違いがあります。
- ASD(自閉スペクトラム症)
- 発達障害のひとつ
- 社会性・コミュニケーション・こだわりの特性などを含む
- 医学的診断が必要
- HSP
- 性格や気質を表す心理学的概念
- 診断名ではない
- 感覚や感情の敏感さが中心
共通する部分
- 感覚過敏(音・光・匂いに疲れやすい)
- 人間関係の疲れやすさ
- 環境の影響を強く受ける
違う部分
- ASDは「発達の神経学的な特性」
- HSPは「性格傾向」
- ASDでは社会的コミュニケーションの特徴が強く関わるが、HSPは必ずしもそうではない
当事者としての実感
私自身、「HSPでは?」と考えたことがあります。
なぜなら、
- 人混みや騒音に極端に疲れる
- 他人の表情や声のトーンに敏感
といった点がHSPの説明に重なっていたからです。
しかし理解していくうちに、「感覚の敏感さ」だけでなく、「言語の解釈の仕方」「社会的な文脈のとらえ方」にも特徴の違いがあるとわかりました。
ここがHSPとは異なる部分だと実感しています。
HSPという言葉の功罪
HSPという概念は、
- 「繊細さを持つことは悪いことではない」と肯定的に捉えられる
- 自己理解の助けになる
一方で、
- 医学的に定義された障害ではないため曖昧さがある
- 「繊細=HSP」と乱用される場合もある
- ASDやADHDなどの診断が必要なケースを見逃す可能性がある
という側面もあります。
まとめ
- HSPは「非常に敏感な気質を持つ人」を指す概念
- 医学的診断名ではなく、自己理解の枠組みとして使われる
- ASDとHSPは感覚過敏など共通点があるが、根本的には異なる
- ASDは発達特性であり、HSPは傾向
- 当事者としては「HSP的な説明」で共感できる部分もあるが、違いを知ることで自分の特性をより正しく理解できた
→このように、HSPは自己理解のツールとして役立つ面がある一方で、発達障害との区別も意識する必要があります。
リンク