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この記事でわかること
- 発達障害当事者が職場で「一般的な前提」とズレる理由
- 周囲が「甘え」に見えやすい背景
- 当事者と周囲の認識ギャップが仕事の継続を難しくする仕組み
※診断や治療を定めるものではなく、一般向けの情報整理です。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
はじめに
ASD当事者として仕事をしてきた中で、「仕事が続かない」と感じる理由にいくつも気づきがありました。
今回はそのひとつ、「一般的な前提」にまつわる落とし穴について書いてみます。
多くの人は障害としての困難を未経験
多くの人は発達障害ではありません。
ですから、発達障害の特徴について「ちょっと自分もそういうところあるな」と思うことはあっても、**「障害としての困難さ」**を実感するのは難しいものです。
たとえばADHDでよく言われる「不注意」があります。
多くの人もときどきうっかりミスをしますが、それが日常のほとんどの場面で繰り返され、行動のスムーズさに大きく差が出る、というレベルまでは想像しにくいでしょう。
ADHDの注意の特徴を遅刻で例にしてみます。
たとえば、「忘れ物を取りに戻る」「余計なことをして時間がかかる」など、当事者からすれば特性に根ざした遅れでも、周囲からは「だるいから動きが遅い」「やる気がないのでは」と見られがちです。
多くの人にとっては、寝起きのダルさや気分の浮き沈みの延長に見えるため、「改善すれば解決できる」と結び付けやすいのかもしれません。
このように、「一般的な前提として多くの人ができると期待される状況」で、発達障害当事者の行動がズレてしまうと、職場で誤解が生まれ、立場が悪くなってしまうことがあります。
結果として、仕事が続けにくくなるのです。
当事者の側も、「特性だから遅刻する、ミスをする」という説明だけでは、相手の理解から遠いという現実を知っておくと、うまくいくことがあります。
つまり、「相手に想像しにくい世界観で動いている」という認識を持つだけで、伝え方や振る舞いを少しずつ調整できる可能性がある、ということです。
もちろん「わかってもらうこと」も、「自分を理解すること」も簡単ではありません。
期待しすぎず、むしろ自分の特性が許される職場や環境を探すという方向も一つの考え方かもしれません。
チェックポイント
- 「自分にとって当たり前の困りごと」が、周囲にとって“普通の範囲”に見えていないか
- 「甘え」と思われやすい特性で誤解されていないか
- 「特性だからできない」とだけ伝えていないか
考えるヒント
たとえば、
- 自分の特性や困りごとを、行動ベースで具体的に説明する方法を試す
- 遅刻やミスなど、目に見える結果ではなく、その背景のプロセスを言語化してみる
- 自分の特性が許されやすい職場環境や業務形態を探してみる
なども考えられます。どの方法が合うかは人それぞれです。
まとめ
- 「一般的な前提」を当たり前に期待される構造がある
- 特性による行動のズレは甘えと誤解されやすい
- 当事者も「伝わりにくさ」を知っておくと見え方が変わることがある
この3点を頭に置くだけでも、職場での出来事の見え方や受け止め方が少し変わります。相手を責めるでも、自分を責めるでもなく、仕組みとして整理してみることが大切かもしれません。
おわりに
今回は「一般的な前提」の落とし穴について書きました。多くの人にとって当たり前のことが、当事者には大きな壁になることがありますし、その逆に当事者が“当たり前”と思っている困りごとが他者には理解されにくいこともあります。
こうした視点を持つだけで、「なぜ仕事が続かないのか」を単なる個人の弱点としてではなく、環境や文化との相互作用としてとらえ直すことができます。
読んでくださったあなた自身の経験と照らし合わせて、どんな工夫ができそうか、ぜひ考えてみてください。