この記事でわかること
- 就労支援・障害者雇用・一般雇用の選択に迷ったときの考え方
- 自分の状況を「習慣ゾーン」「行動ゾーン」「将来ゾーン」の3段階で整理する方法
- 各ゾーンに対応する現実的な選択肢
- 制度の比較ではなく、自分の状態から考える視点
この記事の結論は、
「どの制度から始めるべきか」は、「習慣ゾーン(生活のバランス設計)」「行動ゾーン(準備・マナー・配慮の整理)」「将来ゾーン(就職・目標設定)」という3つのゾーンで「自分は今どのゾーンか」を整理することで見えてくる、という考え方です。
はじめに|選択肢が多い?
就労を目指すとき、「自分はどこから始めるべきか」迷う人は多いと思います。
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、障害者雇用、一般雇用と、選択肢はいろいろあります。
発達障害の当事者である私も、活動を始めるにあたって同じように悩みました。
私自身、これまでに就労移行支援事業所・就労継続支援A型・障害者雇用・一般雇用の経験があります。
その中で感じたのは、制度の違いだけを比べても、「いまの自分にとって現実的なスタート地点」が分かりにくい、ということでした。
また、「最短で正社員を目指す」という気持ちが先行すると、自分の状態と合わない選択をして、かえって遠回りになることもあります。
そこでこの記事では、就労の選択肢に迷ったときに自分の状況を整理するための視点の一つとして「3つのゾーン」を紹介します。
これは「正社員が正解」「事業所がおすすめ」という話ではありません。
私が感じた「習慣・行動・将来」の視点から「自分はいまどのゾーンに適しているか」をチェックする考え方をまとめていきます。
※就労支援の利用や働き方の選択については、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
※収入により、受けている福祉サービスや手当との関係が変わる場合があります。気になる場合は、事前に相談支援専門員や自治体の窓口に確認しておくと安心です。
3つのゾーンで考える
就労支援の選択を考えるとき、制度の細かい違いを比べるよりも、自分が今どの段階にいるのかを整理する方が分かりやすいと思います。
この記事では、その段階を3つのゾーンに分けて考えます。
ここで紹介する「3つのゾーン」は、筆者である私が自分の経験をもとに整理した考え方です。
公式な制度上の区分ではなく、「自分の状態を考えるための目安」として読んでいただければと思います。
①:習慣
まずは家での過ごし方も含めて、一日の生活リズムやバランスを整えるゾーンです。
一日の生活リズムが崩れると、通うこと自体が難しくなります。
②:行動
一日の生活のバランスは作れているものの、日中の活動時の行動を練習したり見直すゾーンです。
ここでは「今日一日」だけでなく、「数か月〜数年のリズム」を見すえながら、準備・マナー・配慮の理解など、行動面を整理していきます。
③:将来
ゾーン①②がある程度できるようになってから、さらに①②を整理しつつ将来の選択へ進むゾーンです。
数年、数十年、または人生全体のリズムを設計し、就職などを視野に入れて動く段階です。
ゾーン①:習慣ゾーン
どんな状態?
家での活動を整理したり、一日の生活リズムを整えるゾーンです。
たとえば、夜更かしが続いてしまい翌日に影響が出る、といったことは、多くの人に起こりやすいと思います。
私にも同じような経験があります。
生活リズムが安定していないと、どんなに「働きたい」という気持ちがあっても、通うこと自体が難しくなります。
このゾーンでは、まず生活のバランスを整えることが最優先になります。
具体的にはどんな課題?
- 朝起きる時間が日によってバラバラ
- 夜更かしが続いて、次の日に影響が出る
- 週に数日、決まった時間に出かけることが負担
- 体調やメンタルの波で、予定をキャンセルしてしまうことが多い
こういった状態では、「週5日、決まった時間に通う」という前提の場所は、まだ負担が大きい可能性があります。
このゾーンに合う選択肢
- 「就労継続支援B型」
- 出席日数や時間に柔軟性がある事業所が多く、自分のペースで通いやすいことが多いです。
- 具体的な通所日数や時間は事業所ごとに異なります。
- 「単発のアルバイト」
- 一日だけの日雇いなど、自分の都合に合わせて働ける日を選べるため、生活リズムを崩しにくいです。
- 「シフトに融通が利くアルバイト」
- 週に数日から始められる職場であれば、少しずつ働く習慣を作りやすいです。
- 「就労移行支援」
- 通うことの練習として使える場合もありますが、利用できる最長期間が決まっている点は注意が必要です。
このゾーンで大切なこと
焦らず、まず「通う」「活動する」という習慣そのものを作ることが重要です。
「働く内容」よりも、「決まった時間に起きる」「外に出る」「人がいる場所にいる」といった、基礎的な習慣を整えることを優先していきます。
ゾーン②:行動ゾーン
どんな状態?
一日の生活リズムは整っているが、長期的に見ると行動面での課題が原因で生活バランスが崩れやすい段階です。
通うこと自体はできるようになっている状態ですが、準備・マナー・配慮の理解など、行動面での整理が必要な場面が出てきます。
具体的にはどんな課題?
- 週5日通うことはできるが、何をどう準備すればいいのか分からない
- 職場でのマナーや暗黙のルールが理解しにくい
- 自分に必要な配慮が何なのか、言葉にできない
- 困ったときに誰にどう相談すればいいのか分からない
- 就職活動のやり方(履歴書、面接など)に不安がある
このゾーンでは「働く能力」は備わっているものの、「働くための準備」や「配慮の整理」が必要な状態だと言えます。
このゾーンに合う選択肢
- 「就労移行支援」
- 就職を目的とした支援が受けられ、配慮の整理や就職活動のサポートが充実しています。
- 「就労継続支援A型」
- 週5日通う習慣を維持しながら、職場での行動を学べます。
- 一般雇用に近い環境で働く練習ができる事業所もあります。
- 「短期間のアルバイト」
- 実際に働く経験を通して、自分の課題や必要な配慮を見つけることができます。
このゾーンで大切なこと
自分に必要な配慮を整理することが、次のステップに進むための重要なポイントになります。
また、困ったときに相談する力や、就職活動の基本的なスキルを身につけることも大切です。
このゾーンでは、「働く場所」そのものよりも、「働くための準備を整える場所」を選ぶ視点が役立つと思います。
ゾーン③:将来ゾーン
どんな状態?
ゾーン①②がある程度できるようになっていて、さらに①②を整理しながら将来へ進む段階です。
生活のバランスも安定し、行動面の準備や配慮の整理も整っている状態です。
この段階では、実際に就職を視野に入れて動き始めます。
具体的にはどんな段階?
- 週5日、決まった時間に通うことができる
- 準備やマナーについて、基本的な理解がある
- 自分に必要な配慮を、ある程度言葉にして説明できる
- サポートがあれば、就職活動の進め方も理解できる
- 障害者雇用か一般雇用か、選択肢を検討できる状態
ゾーン①②の事業所に通いながら、就労サポート(ハローワーク障害者窓口や民間の支援サービスなど)を利用して就職活動を始める人もいます。
このゾーンに合う選択肢
- 「障害者雇用(オープン)」
- 必要な配慮を受けながら働ける環境です。
- 自分の状態を説明できる段階であれば、現実的な選択肢になります。
- 「一般雇用(オープン・クローズ)」
- 配慮の開示について、自分で選択できる段階です。
- 職場や仕事内容に応じて、オープンかクローズかを判断します。
- 「ゾーン①②の事業所に通いながら就職活動」
- 就労移行支援やA型に通いながら、並行して就職活動を進める方法です。
このゾーンで大切なこと
就職することがゴールではなく、働き始めた後も生活のバランスを保つことが大切です。
そのため、ゾーン①②で身につけた習慣や配慮の整理を継続していく必要があります。
なぜ「最短ルート」を目指すと失敗しやすいのか
「早く正社員になりたい」という気持ちはごく自然だと思います。
しかし、自分の状態と合わない選択をすると、かえって遠回りになることがあります。
たとえば、習慣ゾーンが整っていない段階で週5日フルタイムの仕事を始めると、最初は頑張れても生活リズムが崩れて体調を崩し、結果的に続けられなくなることがあります。
また、行動ゾーンが十分に整理できていないと、「何が問題なのか」「どの配慮が必要なのか」が分からないまま、同じ失敗を繰り返す可能性があります。
「最短ルート」ではなく「自分に合ったルート」を選ぶことが、結果的には近道になると思います。
そのためには、焦らず、今の自分がどのゾーンにいるのかを冷静に見ることが大切です。
まとめ|制度ではなく、自分の状態から考える
就労支援の選択は、制度の比較ではなく「自分の状態」から考えることが大切です。
- ゾーン①:習慣ゾーン(生活のバランス設計)
- ゾーン②:行動ゾーン(準備・マナー・配慮の整理)
- ゾーン③:将来ゾーン(就職・目標設定)
ゾーンは「クリアしたら次に行く」という階段ではなく、状況に応じて並行して整理し続けるものです。
就労の選択肢は多いですが、自分が今どのゾーンにいるのかを整理することで、現実的なスタート地点が見えてくると思います。
焦らず、自分のペースで進むことが、結果的には近道になるのではないでしょうか。
就労で困ったときの相談先(公的機関)
- 「各自治体の発達相談窓口」→「※お住まいの自治体の公式サイトをご確認ください」
- 就労支援サービスの利用相談や制度の確認ができます。
- 「発達障害者支援センター」→「https://www.rehab.go.jp/ddis/」
- 特性に基づく相談ができ、生活・就労・家族支援など幅広く対応しています。
- 「ハローワーク(障害者専門窓口)」→「https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/sy_guide.html」
- 障害者雇用の相談、求人紹介など支援する、障害者専用窓口の案内ページです。
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「障害者職業センター」→「https://www.jeed.go.jp/」
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職業評価(アセスメント)を通して、働くうえでの強み・課題を整理できます。
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※当サイトはこれらの運営団体とは直接の関係はありません。また、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。

