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この記事でわかること
- 子どもが大きくなっているのに、「よだれ」が続くのは病気なのか?
- ASD(自閉スペクトラム症)による「よだれ」の特徴と考えられる原因
- 定型発達やその他の病気によるよだれとの違い
※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
はじめに
本記事では、ASDによる「よだれ」と、それ以外の原因による「よだれ」を比較しながら整理します。
ASDによる「よだれ」
ASDの子どもでは、歩けるようになってもよだれが長く続くことがあります。これは病気というよりも、発達の特性や情報処理のあり方に関係しています。
考えられる要因
- 感覚鈍麻
- ASDでは感覚が過敏なこともありますが、その逆に「感覚が鈍い」場合もあります。口のまわりや喉の感覚が弱いと、唾液がたまっていても気づかないため、よだれが垂れてしまいます。
- 同時処理の難しさ
- ASDの人は複数のことを同時にこなすのが苦手な傾向があります。たとえば「遊びに集中する」「体を動かす」といった行動に意識が向くと、「口を閉じる」「よだれを飲み込む」といった小さな行動を同時に処理することが難しくなります。その結果、よだれに注意が向かず、流れ出てしまうのです。
- 感覚統合の難しさ
- 感覚統合とは、目・耳・体の位置感覚など複数の感覚をまとめて処理する力のことです。ASDではこの統合が難しいことがあり、姿勢保持や体幹のコントロールに意識がとられていると、口まわりの感覚に注意が向きにくくなります。
- DCD(発達性協調運動症)との重なり
- DCDは「体を思い通りに動かす協調運動」が苦手な発達特性で、ASDと併存することもあります。体幹の弱さや姿勢の不安定さがあると、口が開きやすくなり、よだれが出やすくなる場合があります。
これらの要因が重なり合うことで、ASDの子どもは「歩けるようになってもよだれが続く」ことがあるのです。
それ以外の原因によるよだれ
ASDでなくても、よだれが長引くケースがあります。
- 定型発達の乳幼児
- 定型の子どもは、生後3〜6か月でよだれが増え、2〜3歳頃までに減っていくのが一般的です。4歳以降も顕著によだれが続く場合は、別の原因を考えます。
- 鼻づまり・口呼吸
- アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大があると、口が開きやすく、よだれが出やすくなります。
- 神経疾患(脳性まひなど)
- 嚥下機能や筋肉のコントロールが難しく、長期的によだれが続きます。
- 薬の副作用
- 一部の抗精神病薬やパーキンソン病治療薬などは唾液の分泌を増やすため、成人でもよだれが出やすくなることがあります。
必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
ASD当事者の気づき
私自身、歩けて大きくもなった時期でもまだよだれかけをしていたらしいのです。
自分の記憶はありませんが、当時の写真が残っていたり、家族から「よだれかけをしていて笑われたことがあった」と聞かされました。
私は「歩けて大きくなったのに、よだれかけをしていた」と聞いたとき、少し恥ずかしい気持ちになりました。
けれども、それはその時だけで、今は特に気にしていません。
病院で同じようにスタイをつけているお子さんを見ると、「私もそうだったなぁ」と、家族から聞かされたことを懐かしく思うことがあります。
ASDのお子さんにとって、よだれが続くのは珍しいことではありません。
それは病気ではなく、発達特性のひとつです。安心してください。ただし、鼻の病気や神経疾患など別の要因がある可能性もあるため、気になる場合は医師に相談するとよいでしょう。
まとめ
- ASDでは感覚鈍麻や同時処理・感覚統合などの難しさが関わり、歩けて大きくなった時期になってもよだれが続くことがあります
- 鼻炎・神経疾患・薬の副作用など、ASD以外の原因でもよだれは続く可能性があります
- 恥ずかしさは一時的なものです。サポートグッズを活用し、安心して過ごすことが大切です
病気ではない場合が多いですが、必要に応じて医師に相談すると安心です。
おわりに
「もう歩けるのに、よだれが止まらない」「よだれかけをしているのを見られて、恥ずかしいのでは?」と考えてしまうかもしれません。
こうした不安は、発達障害のある子どもを育てる親御さん、あるいは当事者自身の経験としてよく聞かれるものです。
ASDの子どもによだれが続くのは病気ではないことが多いですが、別の病気が関係している場合もあります。そのため、不安があるときは医師に相談すると安心です。