ASDとADHDにおける落ち着きのなさの違い|発達障害の特性の比較まとめ

ADHD

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この記事でわかること

  • ASDとADHD、それぞれの「落ち着きのなさ」の特徴
  • 背景にある理由の違い
  • 周囲が誤解しやすいポイント
  • 当事者視点の気づき

※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。


はじめに

同じ発達障害の「ASD(自閉スペクトラム症)」と「ADHD(注意欠如多動症)」は、似たような行動が現れることがあります。

その代表例が「落ち着きのなさ」です。

一見同じに見えても、背景にある理由や行動の現れ方には大きな違いがあります。

この記事では、その違いを整理し、当事者の視点の気づきも交えて解説します。


ADHDの落ち着きのなさ

特徴

  • 多動性・衝動性が中心
  • 座っているのが苦手で、手足を動かす・立ち歩くことが多い
  • 話の途中で口を挟む、順番を待てないなど衝動的な行動が出やすい

背景

  • 実行機能(注意の切り替え・衝動抑制・ワーキングメモリ)の弱さ
  • 外部刺激に注意が引かれやすく、集中を維持しにくい

見え方の例

  • 授業中に何度も立ち上がる
  • 待ち時間に体を揺らす、話し続ける
  • 静かにすべき場面でもしゃべる・動き続ける

ASDの落ち着きのなさ

特徴

  • 感覚過敏や環境ストレスが原因になる
  • 不安や混乱を和らげるため「常同行動(例:手をひらひら、足をトントン)」が出る
  • 興味やこだわりに没頭する一方で、他の場面では落ち着かなく見える

背景

  • 感覚処理のアンバランス(音・光・人混みの刺激に疲れる)
  • 見通しが立たない状況への強い不安

見え方の例

  • 集団の中でソワソワするが、好きな活動には長時間集中できる
  • 待ち時間に独り言や繰り返し行動をする
  • ストレスが強いとパニックや離席につながる

見分けのポイント

  • ADHD
    • 原因は「衝動・注意のコントロールの弱さ」。場面を問わず多動や衝動が見られやすい。
  • ASD
    • 原因は「感覚過敏・不安・こだわり」。安心できる環境では落ち着いていられることもある。

両方を併せ持つ場合

ASDとADHDは併存することも多く、片方だけでは説明できないケースがあります。

たとえば「授業中に立ち歩く」行動も、

  • ADHDなら → 衝動的に体を動かしてしまう
  • ASDなら → 感覚的な苦痛でその場にいられない

と背景が異なります。行動だけを見ると同じでも、理由が違うのです。


ASD当事者の気づき

私はASD当事者であり、同時にADHDの診断も受けています。

ただし、私は子どもの頃に教室を走り回ったりするタイプではありませんでした。

いわゆる「多動」で「注意散漫」というよりは、「刺激で落ち着かない」タイプでした。

私の場合は、ADHDの治療に関しては、服薬を行うより、刺激をコントロールする対策の方があっていると実感しています(個人差あり)。

※これは私個人の経験であり、すべてのASDやADHDの方に当てはまるわけではありません。

私がこの記事を書こうと思ったのは、「診断名を正確に区別する」こと以上に、「何が原因であり、どう対処できるか」を整理することが、当事者や周囲にとって助けになると思ったからです。


まとめ

  • ADHDの落ち着きのなさ=衝動や注意の制御が難しいことから生じる
  • ASDの落ち着きのなさ=環境ストレスや感覚処理の違いによる行動
  • 同じ行動でも、ADHDとASDでは背景が大きく異なる
  • 両方を併せ持つ場合、行動の意味はさらに複雑になる

診断名にこだわるよりも、「自分の困りごとの対処法」を把握することの方が、とても大切だと実感しています。


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