※本記事は広告(PR)リンクを含みます。
この記事でわかること
- ASD(自閉スペクトラム症)における「こだわり」の意味
- 「こだわり」と「好き」の違いを具体例で整理
- 周囲の理解と工夫について
※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
はじめに
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴のひとつに「こだわり」があります。
「こだわり」は一見すると「趣味や好きなことに熱中している」ように見えることがありますが、実際には「安心するために繰り返す行動」であることが多いといわれています。
「好き」と「こだわり」はどこが違うのでしょうか、本棚の整理を例に両者を比較してみます。
「好き」と「こだわり」の違い(本棚の例)
たとえば、本が好きで「きれいに並んでいた方が気持ちいい」と思い、本棚を見やすく整理整頓するのは「好き」に基づいた行動です。
多少ズレていても「また直せばいいや」と柔軟に対応できます。
一方で、「必ず番号順や背の高さ順など、決めたルール通りに並んでいないと気が済まない」「一冊でもズレていると強い違和感や不安を感じる」という場合は「こだわり」に近い行動です。
これは楽しさよりも「決まった通りでなければ落ち着けない」という安心感の問題とつながっています。
ASDにおける「こだわり」とは?
ASDの「こだわり」は、日常生活の中で 一定のルールや順序に強く固執すること を指すといわれています。
具体的には以下のような形で現れることがあります。
- 毎日同じ時間に同じ行動をする
- 物の並べ方や順序が決まっている
- 決まった手順が崩れると強い不安や混乱を感じる
脳の情報処理の特性から、 予測できる環境を求め、変化を減らすことで安心感を得ている と考えられています。
周囲にできる理解と工夫
ASDの「こだわり」を否定してしまうと、本人にとって大きなストレスになります。
次のような工夫が役立つかもしれません。
- 全てを変えようとしない:安心できる「こだわり」はそのまま残す
- 選択肢を用意する:「AかBのどちらにする?」といった柔軟な提案
- 事前予告をする:予定変更は突然ではなく前もって伝える
ASD当事者の気づき
私は典型的な「こだわり」や「儀式的な行動」は、自分に当てはまらないと思っています。
けれども、振り返ると小さいころからそれらしい行動がありました。
これは違うかもしれませんが、たとえば、マクドナルドの通常のハンバーガーが大好きで、必ず2個買って食べていました。ピクルスが好きで選んでいた部分もありましたが、「いつもと同じメニュー」ということが決まっていないと、ほんの少し不安になっていました。
1個では当然足りないのですが、「今日はもうちょっと食べたない」と思っても、ハンバーガーを3個にするのは嫌で、なぜか2個が心地よいルールのようになっていました。
他の飲食店でも、いつも同じメニューを同じ頼み方でしていました。
また今でも、特別にデザインが好きというわけでもないのに、同じ型の服を色違いで揃えて、同じ順番で着ています。
洗濯の都合で順番がずれると大きな混乱まではいかないものの、やはり「なんかいやだなぁ」と感じてしまいます。
こうして振り返ると、「毎日必ず必要」というほどのものではなくても、気づかないうちに自分の中で繰り返している行動があることに気づきました。
表向きには「好き」や「習慣」のように見えても、実はASDのこだわりに近いものだったのかもしれません。
まとめ
- 「好き」は楽しみや興味からの行動で、柔軟性がある
- 「こだわり」は「安心するためのルール」であり、変化に弱い
- ASD当事者にとって「好き」と「こだわり」は重なり合うこともある
- 周囲は「直す」ではなく「尊重しつつ調整する」ことが大切