「当事者の体験」実行機能・不注意・衝動性

不注意なミスはなぜ多い?|同時処理の苦手さから考えるASD当事者の整理

パソコン作業中の不注意なミスに気づき、同時処理の負担から頭を抱えているビジネスパーソンのイラスト 「当事者の体験」
この記事は約4分で読めます。

この記事でわかること

  • 行動スピードと情報処理スピードが異なること
  • ASD当事者に多い「同時処理の苦手さ」の実感
  • 逐次処理の強みによるメリットと困りごと
  • 一見普通のミスが「頻繁に起きる理由」
  • 苦手さを前提に日常を設計する考え方

この記事の結論としては、

不注意なミスの多さは「同時処理が苦手で逐次処理が強い」という特性によるものだと理解できる、という当事者としての私の体験と理解の整理になります。


はじめに

私は「作業が遅い」と感じたことはありませんでしたが、

  • 作業と会話の並行時、
  • タスクの割り込みが入る時、

などの場面でミスが妙に多く続いていました。

振り返ると、それは偶然ではなく「繰り返し起きていた特徴」でした。

この記事では、その気づきと理解をまとめます。

※当事者視点の整理です。診断や治療を代替できません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。


不注意なミスの背景

行動スピードと情報処理スピードは別もの

行動自体は遅くないのに、

  • 複数の情報が同時に入ると精度が急に落ちる

これが私のよくあるパターンでした。

たとえば、

  • 会話しながら家事をするとどちらかが抜けたり、
  • 急な変更が入ると頭が一瞬混乱

したりします。

しかし、身体は動いていても「情報整理が追いついていない」感覚が常にありました。

この体験から私は、動作スピードと情報処理スピードは別物だと感じるようになりました。


逐次処理の集中がもたらす強みと課題

同時処理が苦手な一方で、逐次処理(ひとつずつ処理する方法)には強みがあると感じています。

1つのタスクに深く集中できる反面、そのぶん周囲の変化に気づけなくなることがあります。

丁寧さやクオリティにつながる一方、全体の進行が止まることもあり、私の得意さと苦手さはこの「逐次処理の強さ」に深く関係していると思っています。


同時処理の苦手さはASDと深い関係があると感じる

もちろん、これは私の観察であり、すべてのASDの方に同じ傾向があるわけではないと思います。

しかし私自身の体験では、

  • 同時処理が苦手で逐次処理が強い

という私の傾向は、ASDの特徴として説明される内容と一致していると感じています。

「弱い中枢性統合仮説」という考え方があります。

これは、全体をまとめる処理が苦手で、細部を個別に強く処理しやすい傾向を説明する仮説です。

この特徴は、まさに私の日常と一致していると感じます。


一見誰にでもあるように見えて、実は頻発していた

私がしてきたミスは、内容だけ見れば「誰にでもあるもの」です。

だからこそ、特性とは結びつけず「たまたま」と考えていました。

しかし実際には、その「たまたま」が何度も何度も繰り返し起きていたのです。

「頻発している」と気づいたことで、自分の行動の背景がようやく整理されました。


苦手さを前提に設計する

こうした理解を経て、今では「なぜ自分だけこうなるのか」と責めることは少なくなりました。

同時処理が苦手という前提で、行動を小さく設計し直すようにしています。

たとえば、タスクを同時に抱えない、割り込みタスクにはメモで対応する、時間を区切って一つずつ終える、といった工夫です。

ミスがゼロになるわけではありませんが、仕組みが整うほど混乱は減り、逐次処理は強みとして活かしやすくなりました。

これからも、この前提を持ちながら日常を整えていきたいと思っています。


まとめ

  • 行動スピードと情報処理スピードは別物
  • ASD当事者には同時処理が苦手な傾向があるかもしれない
  • 逐次処理の強さはメリットとデメリットを併せ持つ
  • 苦手さ前提の設計で生活は整いやすくなる

同時処理の弱さを理解すると、自分の行動がより納得できるようになります。

私自身、この視点が負担の軽減につながりました。