※本記事は当事者が個人的にまとめた解説です。また、個人的な体験や感想であり、診断・治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。診断や治療を決めるものではありません。
はじめに
「発達障害は治る?」という言葉を時々耳にします。
この“治る”をそのまま解釈すると、発達障害という「特性」そのものが消えるということになります。
発達障害に限らず、人それぞれに生まれつき備わった特性は、原則として消えるものではありません。
一方で、特性があるからこそ起きやすい困りごとは、工夫で軽くできる可能性があり、環境が合えばほとんど気にならないレベルまで近づけることもあります。
この記事では、変わらない核(もともとの特性)と変えられる周辺(派生する困難・環境)を分け、日常で実感しやすいスキル向上への役立った考え方と手順をまとめます。
「治る」を言い換える|三つに切り分ける
- ①特性(核)
感覚処理や認知スタイル(例:全体像より細部に注意が向きやすい/感覚過敏・鈍麻など)という核。ここは基本的に変わらない前提で捉えると、自己否定が減ります。 - ②:困難(表れ)
会話のズレ、疲れやすさ、段取りの混乱、過負荷での不調など。学習や事前の対策や道具で軽くする/出にくくすることが可能です。 - ③:環境(外側)
人や場所、ルールなど。こちらを合わせる/合わせてもらうことで、同じ特性でも体感は大きく変わることがあります。
つまり「特性が治る」のではなく、困難を減らす+合う環境に置き換える、この二本立てが現実的なゴールです。
代表的な支援など
- 成人前
早期支援、言語・コミュニケーション支援、作業療法、教育的配慮、行動的アプローチなど - 成人後
上記を含め、社会的スキルトレーニング(SST/社会学習プログラム)、認知行動療法(CBT:不安などの併存に合わせて調整)、ピアサポートなど
どの時期からでも遅くありません。「今からできる一歩」を積み重ねるのがいちばん効きます。
私に効いたもの|“気づき”を増やす設計
見落とした情報のフィードバック(カウンセリング/信頼できる他者/AIなど)
自分では見落としやすい前提情報を、他者の視点で補ってもらうだけでも困難が減りました。
- 例:「いい天気ですね」
以前の私は“今日の天気の説明”を返していました。今は、これは雑談を始めるための安全な合図だと理解することで、コミュニケーションの理解が一歩進んだように感じました。
リアルタイムに複数の情報を扱えないことが多いので、「あるある場面の前提」を事前に知っておくだけでもコミュニケーションが安定します。
→ 同時処理していた場面を“逐次処理”で予習・復習するだけで、1対1のコミュニケーションは少しずつ変化していきました。
チャットGPTなどを使って、様々な視点を学習することも有効です。中庸な意見や反証など、見落としていた情報が拾えます。
まとめ
- ASDの「特性」は病気のように治す対象ではないが、困難は軽減できる。
- 軽減するには、早期支援・言語/教育的支援、社会的スキルトレーニング(SST)、認知行動療法(CBT)ピアサポート、環境調整など
- 重要なのは、自分に合った方法で経験を積み重ねること。