ASD当事者の就労支援|就労移行支援事業所に通ってよかったこと

ASD

※本記事は広告(PR)リンクを含みます。また、診断や治療を定めるものではなく、一般向けの情報整理です。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。

この記事でわかること

  • 就労移行支援に通ってよかった具体的なポイント
  • 向いている人・向いていない人の傾向
  • 事業所選びで私が重視した視点
  • 利用までの基本的な流れとつまずきやすい場面
  • 就職後の定着支援で助かったこと

はじめに

私が就労移行支援・就労継続支援を利用して「通ってよかった」と感じた理由を、経験にもとづいて紹介します。


就労移行支援とは?

一般的には、就職を目指す人が通所し、生活リズムづくりや職業訓練、応募書類や面接の準備、職場見学や実習、就職後の定着支援までを一連でサポートする場です。

日常の課題を小さく分けて練習する「準備の時間」と考えるとイメージしやすいと思います。

私は、いきなり就職よりも「段階を踏む」方が合っていました。

遠回りに見えて、実際は近道でした。


通ってよかったこと①:生活リズムと通所習慣が土台になった

朝起きて支度して通所するだけでも、最初は体力と気力を使います。

私はここが弱く、一人では崩れがちでした。

通所という「外のリズム」に合わせることで、睡眠・食事・移動のペースが整っていきました。

日々の記録をつける習慣も役立ちました。

疲れやすい曜日や時間帯が見えて、無理のない計画に修正できました。


通ってよかったこと②:小さな課題を可視化できた

模擬作業やPC課題で、つまずき方の傾向がはっきりしました。

私は「指示の切り替え」と「同時処理」でミスが増えるタイプで、作業を一列に並べ直すやり方が合っていました。

事業所のスタッフに見てもらい、やり方を言葉にできたのが大きかったです。

言語化できると、職場での相談もしやすくなります。

たとえば「A→B→Cの順で作業すると安定します」「急な割り込みはメモして順番の最後に回します」など、具体的に伝えやすくなりました。


通ってよかったこと③:応募書類と面接の準備が現実的になった

履歴書や職務経歴書は、ひとりだと抽象的になりがちでした。

事業所で第三者の目線を入れてもらうと、伝える順番や具体例の選び方が整ってきます。

面接練習では、沈黙や早口のタイミングを指摘してもらい、想定問答集を自分用に作れました。

  • うまくいかなかったことを全部話してしまう
  • 得意なことの例が「昔の一回の成功」に偏る
  • 志望動機が相手企業ではなく「自分の事情」に寄りすぎる

もし当てはまる点があれば、事業所での練習は効果が出やすいところです。


通ってよかったこと④:特性の共有と環境調整の言語化

対人コミュニケーションは、相性やその日の体調で大きく変わります。

事業所では、似た特性の人が集まることもあり、「自分だけの困りごとではなかった」と気づけました。

スタッフからも「こういう場面では、ここを先に確認しておくと楽です」といった具体的な提案がもらえました。

私は、同時に複数の情報が入ると混乱しやすいので、作業前に「優先順位の確認」「やることを1つずつに」をお願いできるようになりました。


通ってよかったこと⑤:就職後の定着支援が安全網になった

就職が決まってからが本番です。

もしかしたら最初の数か月は、想定外のことが続きます。

私は、通所で練習した「振り返り」と「相談の仕方」をそのまま使い、困ったことを相談できる状態が安心につながりました。

「次回の面談でまとめよう」「会社にはこう伝えよう」という小さな段取りが、離職の予防になった実感があります。


向いている人・向いていない人(私の見立て)

  • 向いているかもしれない人
    • 何から手をつけるか迷いやすい
    • 対人の疲れややるべき行動でガス欠になりやすい
    • 生活リズムが一人だと崩れがち
    • 応募書類や面接で具体例が出てこない
  • 向いていないかもしれない人
    • すでにやりたい仕事が明確で、必要な訓練も自力で回せている
    • 日中の時間を長く通所に割くのが難しい

私自身は、最初から一直線に進めるタイプではなかったので、通って正解でした。


事業所選びで私が重視した視点

  • 通いやすさ(アクセス・混雑・騒音の印象)
  • 事業所の雰囲気(長く通っても問題なさそうか)
  • 学べること(自分の必要としていることか)

見学や体験の段階で「自分の弱点をここでサポートしてもらえるか?」をチェックしました。

雰囲気が合わないと感じたら、別の事業所を検討することも大事だと思います。


利用までの基本的な流れ(一般的なイメージ)

  • 主治医や相談支援専門員、市区町村の窓口に相談
  • 事業所の見学・体験
  • サービスの申請・契約
  • 通所開始(個別支援計画にもとづく訓練)
  • 実習や応募、就職、定着支援へ

地域や個人の状況で違いがありますので、詳細は自治体や事業所での案内が確実です。


よくあるつまずきと、私が助かった対処

  • 途中で疲れて欠席が増える
    → 最初から“続ける前提の計画”を設計をする。
  • 作業の切り替えでエラーが出る
    → 作業の順番を固定して、割込みはメモして最後に回す。
  • 相談が遅れて手に負えなくなる
    → 週1回の振り返り面談で「小さいうちに出す」練習をする。

小さな修正でも、続けると効果が出ました。


まとめ

  • 通所の生活リズムが、就職の土台になった
  • 課題が可視化され、対処法を言語化できた
  • 応募書類・面接は第三者の目で現実的になった
  • 似た特性の人やスタッフとの情報交換が助けになった
  • 就職後の定着支援が安全網となり、離職の予防に役立った
  • 事業所選びは「相性」を重視した

通ってみると、遠回りではなく「つまづきを減らす近道」でした。


おわりに

就労移行支援は、就職に必要な力を一気に伸ばす場所というより、日々の小さな段取りを整えていく場所でした。

私にはその積み重ねが合っていました。

やりたいことが決まっていない段階でも、通う価値はあります。もし、あなたにも似たつまずきがあるなら、見学や体験から始めてみるのがちょうど良いと思います。


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