「当事者の体験」コミュニケーション・心の理論

発達障害の仕事が続く人と続かない人の違い|見えていない視点を調整する難しさ

発達障害のある社員を職場の同僚と上司がノートパソコンを囲んでサポートしているビジネスイラスト 職場の理解と支援がある環境のイメージ 「当事者の体験」
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この記事でわかること

  • 発達障害の仕事が「続く」「続かない」背景の違い
  • サポート役がいる場合に起こる「続きやすさ」
  • 客観的な視点がないと起こりやすいすれ違い
  • 見えていない前提を伝える難しさ
  • 当事者として感じる「環境要因」の大きさ

この記事の結論としては、

仕事が続くかどうかは本人の努力だけで決まるのではなく、互いの見えていない視点や前提を調整できる環境があるかどうかで大きく変わる、という当事者としての理解の整理になります。


はじめに

私が感じていることとして、発達障害のある人が、

  • 「同じような困りごとを持っているのに続けられる場合」と
  • 「どうしても続かない場合」

には、背景の構造に大きな違いがあると思っています。

私自身の経験から見ると、その分岐点には「職場と当事者をつなぐサポート役の有無」が関係することが少なくありません。

ここでいうサポート役とは、

  • ジョブコーチ、
  • 就労支援機関のスタッフ、
  • 社内の理解者、
  • 産業医

など、当事者と職場のあいだで情報を整理し、橋渡しをしてくれる立場を指します。

この記事では、そうした構造を一人の当事者としての視点から整理してみます。

※当事者視点の整理です。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。


仕事が「続く」「続かない」背景のちがい

同じ人であっても、職場によって

  • 「続けられる場所」と
  • 「続けられない場所」

がはっきり分かれることがあります。

その差は、

  • 本人のやる気や努力
  • スキルの有無

だけでは説明しきれないと感じています。

私自身の体感としては、職場と当事者のあいだで「見えていない前提」をどれだけ調整できるかによって、続けやすさが大きく変わっていたと思います。


両者の間にサポート役がいるとき

続けやすさが高まるポイント

サポート役が間に入ると、次のような調整がスムーズになります。

  • 本人の困りごとを具体的に整理し、職場へ共有する
  • 職場の意図や基準を、当事者が理解しやすい形に翻訳する
  • 両者の負担の偏りを可視化し、調整可能なラインを探す

ここで重要なのは、サポート役がどちらかの味方になるのではなく、双方の前提を整理し、見えていない部分を可視化する役割を担うことです。

その結果として当事者側には、「この職場なら、条件つきではあるけれど、やっていける」という感覚が生まれやすくなります。


客観的な視点が少ないとき

小さなすれ違いが積み重なる

当事者と職場のあいだに客観的な視点がない場合、ほんの小さなすれ違いが大きくなりやすいと、私は経験から考えています。

当事者側の疑問

  • なぜ自分のしんどさが理解してもらえないのか
  • どこまで頑張ればいいのかが分からない

職場側の疑問

  • なぜこれくらいのことができないのか
  • 説明したはずなのに、なぜ同じミスが続くのか

ここで起きているのは、「どちらが悪いか」という問題ではありません。

前提が違うまま同じ言葉を使うと、互いが

  • 「伝えたつもり」
  • 「理解したつもり」

になりやすく、実際には別の意味として受け取られているケースが多いと感じます

この構造に気づけないまま説明を重ねても、摩擦が強まり、最終的には「もうここでは働けない」という結論にたどり着きやすくなります。


見えていない視点を伝える難しさ

お互いの「当然」に気づけない

当事者には当事者の事情があり、職場には職場の事情があります。

しかし、互いにその視点が見えていないこと自体に気づくのは簡単ではありません。

  • 当事者は「これ以上は無理だ」と感じていても、それを言葉にするのが難しい
  • 職場は「普通はこれくらいできる」と思い込んでおり、負荷の大きさに気づきにくい
  • 直接話し合うと感情的になり、波風が立ちやすい

その結果、問題の本質が「前提の違い」にあるにもかかわらず、個人の努力不足や理解不足として処理されてしまいがちです。

だからこそ、第三者が介入して

  • 言葉を選ぶ
  • 情報を整理する
  • 見えていない前提を可視化する

という役割には、大きな意味があります。

どちらの側も、自分の感覚や基準を「比較的ふつう」と感じているため、違いが説明可能な問題だと気づきにくい構造があります。


当事者として感じていること

見えていない視点や前提を共有できる環境があるかどうかが、「続けやすさ」を大きく左右するということです。

その環境がある職場では、トラブルが全くなくても、調整しながら続けていくという道が見えやすくなります。

逆に、その環境がない場合には、同じ特性を持つ人であっても、結果として「続かない」という判断に至りやすいと感じています。


まとめ

  • 仕事の継続には環境要因が大きい
  • 客観的な視点が入ると摩擦が減りやすい
  • 前提の調整は個人の努力だけでは難しい

この記事が、発達障害のある人と職場のあいだで起きている見えにくい構造を考えるきっかけになれば幸いです。