「仕事・就労の悩み整理」コミュニケーション・心の理論

発達障害の仕事で理解されないとき|「一時的」と「特性」の困難の違いの落とし穴

発達障害やASD当事者が職場で感じるコミュニケーションのズレを象徴するイメージとして、会議中の人々のイラスト 「仕事・就労の悩み整理」
この記事は約4分で読めます。

この記事でわかること

  • 発達障害の困難さを誤解されやすいプロセス
  • 「一般的な前提」の期待からズレると、立場が悪くなりやすい構造
  • 「特性で苦手」で伝わりにくい理由と、その前提を知っておく意味
  • 自分の特性に合った職場や環境を探す、という選択肢の考え方

この記事の結論は

自分の特性と「特性が一時的な困難に見えるズレ」を理解しながら、「相手は特性の困難が想像しにくい世界観で動いている」という前提を押さえておくことで、仕事が続かない理由を環境との相性や仕組みの問題として整理しやすくなる、という私なりの考えの整理です。


はじめに

発達障害の仕事で理解されないとき

ASD当事者として仕事をしてきた中で、「仕事が続かない」と感じる理由にいくつも気づきがありました。

今回はそのひとつ、「一般的な前提」にまつわる落とし穴について書いてみます。

※当事者視点の整理です。診断や治療を代替できません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。


多くの人は障害としての困難を未経験

多くの人は発達障害ではありません。

ですから、発達障害の特徴について

  • 「ちょっと自分もそういうところあるな」

と思うことはあっても、「障害としての困難さ」を実感するのは難しいと思います。

たとえば、ADHDの困難であれば、「不注意」がよく指摘されると思います。

多くの人もときどきうっかりミスをしますが、

  • それが日常のほとんどの場面で繰り返され、
  • 行動のスムーズさに大きく差が出る、

というレベルまでは想像していないかもしれません。

ADHDの特性を「遅刻」で例にしてみます。

たとえば、

  • 「忘れ物を取りに戻る」
  • 「余計なことをして時間がかかる」

など、当事者からすれば「特性による困難」であり、「一時的な困難」とは違うと思います。

しかし、周囲からは

  • 「だるいから動きが遅い」のでは、
  • 「やる気がない」のでは、

といった見られ方をする可能性があります。

なぜなら、多くの人にとっては、

  • 「寝起きのダルさ」や
  • 「気分の浮き沈みの延長」

といった原因は、

  • 「一時的な困難」に見えるため、

「改善すれば解決できる」といった考えに結びつくのかもしれません。

このように、多くの人からは「一時的な困難だから改善できる」といった期待が裏にはあるのかもしれません。


想像しにくい困難は誤解されやすい

こういった背景があり、結果的に立場が悪くなってしまうのかもしれません。

それが積もり積もった結果、仕事が続けにくくなるケースがあると私は考えました。

私もですが、当事者側も特性だから、

  • 「遅刻する」
  • 「ミスをする」

という説明だけでは足りない、といったことを知ることが大事なのかもしれません。

つまり、

  • 相手に想像しにくい世界観で動いている

という認識を持つだけで、伝え方や振る舞いを少しずつ調整できる可能性がある、ということです。

もちろん、「わかってもらうこと」も、「自分を理解すること」も簡単ではありません。

理解されることを期待しすぎず、自分の特性が許される職場や環境を探す、といった方向も一つの考え方かもしれません。


チェックポイント

  • 「自分にとって当たり前の困りごと」が、周囲にとって「普通の範囲」に見えていないか
  • 「甘え」と思われやすい特性で誤解されていないか
  • 「特性だからできない」とだけ伝えていないか

考えるヒント

たとえば、

  • 自分の特性や困りごとを、行動ベースで具体的に説明する方法を試す
  • 遅刻やミスなど、目に見える結果ではなく、その背景のプロセスを言語化してみる
  • 自分の特性が許されやすい職場環境や業務形態を探してみる

なども考えられます。

どの方法が合うかは人それぞれです。


ASD当事者の感想

今回は「一般的な前提」の落とし穴について書きました。

多くの人にとって当たり前のことが、当事者には大きな壁になることがあると私は思っています。

その逆に、当事者が「当たり前」と思っている困りごとが他者には理解されにくいこともあります。

こうした視点を持つだけで、

  • 「なぜ仕事が続かないのか」

を単なる個人の弱点としてではなく、環境や文化との相互作用としてとらえ直すことができます。

読んでくださったあなた自身の経験と照らし合わせて、どんな工夫ができそうか、ぜひ考えてみてください。

まとめ

  • 「一般的な前提」として、「当たり前に期待」される構造を疑う
  • 特性による行動のズレは甘えと誤解されやすいことがある
  • 当事者も「伝わりにくさ」を知っておくと見え方が変わることがある

こうした視点があるだけで、仕事の続けにくさを「自分の弱さ」ではなく、環境との相性から考え直しやすくなると感じています。

相手を責めるでも、自分を責めるでもなく、仕組みとして整理してみることが大切かもしれません。


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