この記事でわかること
- 発達障害に関連して見られる易刺激性と易怒性のちがい
- ASD（自閉スペクトラム症）での出方の特徴
- 日常生活（学校・家など）での影響
- 環境調整や感情を言葉に変える工夫のポイント
- ASD当事者の気づきや感じたこと
はじめに
発達障害の特性で「イライラして怒る」と言っても、イライラしやすく怒りやすい状態と実際に怒ることは、似ているようで違うと思います。
この記事では「易刺激性（いしげきせい）」と「易怒性（いどせい）」について、その特徴の違いや生活への影響を当事者目線から解説します。
※診断や治療については、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
医学的な定義と当事者の理解
ささいなことで不機嫌などに「なる状態」のことを「易刺激性（いしげきせい）」、その中で怒りっぽい方向への状態を「易怒性（いどせい）」と呼ぶと私は理解しています。
医学的には、
- 易刺激性 = 不機嫌・イライラ・怒りなど感情反応全般
- 易怒性 = そのうち特に怒りが強い状態
となるようです。
この二つは独立して存在する場合もありますが、多くは連続しています。
易刺激性（刺激に敏感）とは？
易刺激性は、一般に「外部からの刺激に対して過敏に反応しやすい状態」を指す言葉として説明されることがあります。
- いつもより音や光などの感覚刺激で落ち着きにくいことがある
- 予想外の出来事に過剰に反応してしまうことがある
- 相手の表情や声色の変化などに揺さぶられやすいことがある
たとえ話ですが、受け皿自体が小さな状態にあることで、外からの刺激への反応が大きくなってしまう状態です。
本人が最初から怒っているわけではなく、脳や神経が刺激に強く反応してしまうことが背景にあると理解しています。
また、易刺激性は刺激に強く反応しやすい「状態」であり、必ずしも怒りに直結するわけではないようです。
易怒性（怒りやすさ）とは？
易怒性は、一般に「怒りの感情が生じやすく、表に出やすい状態」を指す言葉として説明されることがあります。
- 既にイライラ気味の「方向」で、ちょっとしたきっかけでイライラが爆発することがある
- 気持ちが怒りの「方向」にあり、相手の言葉を攻撃と受け止めてしまうことがある
- 我慢できる余裕が少なく、反射的に怒りを示すことがある
たとえ話ですが、本人の怒りのエネルギーが既に受け皿いっぱいにある状態で、その持っている怒りのエネルギーが外へ爆発しやすい状態です。
抑制が効きにくくなり、怒りの形としての行動や言葉が出やすくなると理解しています。
私の体感では「怒りのエネルギー（嫌な記憶など）がいっぱいになり、それが「怒り行動」として溢れてしまいやすい状態」と感じていますが、医学的には「小さな刺激でも怒りやすい状態」を指すようです。
ASDにおける出方の特徴
ASDでは、以下のように重なって表れると説明されることがあります。
- 感覚過敏（音・光・においなど）による刺激があり
- 予定変更や予測外の出来事による混乱も重なり
- それらの負荷の蓄積が爆発して易怒性につながる
私は苦手な環境の場合、刺激やストレスなどが蓄積していくと感じることがあります。
そして蓄積から易刺激性が起こり、その状態で何らかの拍子に一気に怒りっぽくなってしまうことがあります。
外から見ると「突然怒った」と思われますが、既に刺激の蓄積があったと思います。
生活への影響
易刺激性と易怒性は、生活にさまざまな形で影響を与えると私は考えています。
- 学校や職場での集中の難しさ
- たとえ原因が環境にあっても、注意維持困難やイライラとした反応は誤解を招く可能性がある
- 家庭でのコミュニケーションの摩擦
- 既に易刺激性になっている状態は、理由もなく怒る状態にも見える可能性がある
- 外出時のストレス
- 人混みや大きな音、においなどの刺激が重なると、一気に疲れやすくなったり、感情が爆発してしまう可能性がある
私の場合、外出中に「もう休憩したい」と思うことがあり、車の中で一人休憩することが何度もありました。
また、「もう会話したくない」という状態もあり、その状態で会話をすると、怒りが爆発していた記憶があります。
これは個人的に、刺激の処理に体力を使い切った結果、冷静な反応をする余力がなくなることが原因と感じています。
工夫のヒント
易刺激性や易怒性は、環境や工夫によってある程度軽減できると思っています。
- 環境調整
- なるべく負荷の少ない（慣れている）環境を選ぶ
- イヤーマフなどのグッズを活用する
- 新しい環境に飛び込み過ぎない
- 刺激の蓄積を減らす
- 慣れない行動時は休憩をこまめに入れる
- 欲張っていつもと違う予定を詰め込みすぎないようにする
- 睡眠・食事のリズムなどを整えて備える
- 感情を言葉に置き換える
- 周りに伝えるときは「イライラする」ではなく、「刺激で疲れた」、「疲れてイライラする」など「疲れ」を伝える
- 易刺激性を感じたら、「これは疲れている時の感情」と心の中で考える
- 「イライラする」「ムカつく」など、周りへの怒りと結びつく言葉を普段から極力使わない
誰かのせいで「イライラする」と感じるとき、自分は「疲れて落ち着かない」などに変換できるようになると、怒りの爆発は減ると実感しています。
私の場合、「今日は刺激などで疲れている」と考えることで、いつもはこんなことで怒らなかったと気づき、怒りを爆発させずに済んだこともありました。
ASD当事者の気づき
私は、易刺激性と易怒性は「時間軸（タイミング）が違うもの」と気づくことで、それがメリットになると考えています。
この二つは繋がってもいますが、それぞれの状態で対応が異なってきます。
- ちょっとした外部の刺激に反応してしまう「易刺激性」
- 外部の刺激が怒りにつながりやすい「易怒性」
易刺激性であれば、負担になっている刺激を減らして、いつもの落ち着いた状態を維持している環境へ寄せることが一つの対応かなと私は思っています。
易怒性であれば、怒りへ繋がる可能性がある「内部の思考」や「外部からの刺激」を減らすことで、怒りを避けることが一つの対応かなと私は思っています。
また、反応や怒りそのものを対策するよりも「刺激を受けながら適切な反応をコントロールすることが苦手な傾向にある、生まれつきの脳の処理スタイル」として理解すると、周囲にも伝わりやすいのではないかと感じます。
まとめ
- 易刺激性は、外部刺激へ反応しやすい状態のこと
- 易怒性は、怒りの爆発がしやすい状態のこと
- 環境調整や休憩で刺激を減らすことが有効であることがあります
- 感情を言葉に変える工夫で怒りを抑えやすくなることがあります
怒りやすさを単に性格のせいにするのではなく、「刺激」が負担になっている、という観点から考えることが大切だと思います。
「反応が強く出やすい」という共通点はあっても、違いを知ることで日々のサポートや自己理解につながると感じています。
困ったときの相談先（公的機関）
- 「各自治体の発達相談窓口」→「※お住まいの自治体の公式サイトをご確認ください」
- お住まいの福祉相談窓口では、発達特性に関する相談や支援の案内が受けられる場合があります。
- 「発達障害者支援センター」→「https://www.rehab.go.jp/ddis/」
- 特性に基づく相談ができ、生活・家族・就労など幅広い支援に対応しています。
※当サイトはこれらの運営団体とは直接の関係はありません。また、必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
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