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この記事でわかること
- 易刺激性と感覚過敏の基本的な意味
- ASD(自閉スペクトラム症)と関連するポイント
- イライラとのつながり
- 似て見えるけれど実は違う行動
- 気にならない人との違い
※本記事は診断や治療を定めるものではありません。必要に応じて医師や専門家にご相談ください。
はじめに
この記事では、易刺激性と感覚過敏の関連を整理し、それぞれの症状を分けて解説していきます。
易刺激性とは?
易刺激性(いしげきせい)とは、イライラや不安など、外からの刺激や心の動きに対して「過敏に反応してしまいやすい」状態を指します。
特徴
- 周囲のちょっとした物音でもイライラしてしまうことがあります
- 強い光やにおいにさらされると、イライラや不安など高まりやすいです
- 感情的な出来事(人から注意される、予定が変わるなど)で感情が爆発してしまうこともあります
ここで重要なのは、「刺激そのものが異常に強く感じられる」わけではなく、イライラしたり、怒ったり、些細なことでも心が反応しやすい状態のことです。
感覚過敏とは?
感覚過敏は、五感や身体のバランス、内臓などの内側の感覚でも過敏がみられることがあり、その感じ方そのものが、他の人よりも強い状態のことです。
ついでですが、感覚鈍麻はその逆で、他の人よりも弱い状態のことです。
特徴
- 日差しや蛍光灯の光が強いと感じる
- 小さな物音でも苦痛に感じてしまう
- 洋服のタグや縫い目が耐えられない
- 匂いに敏感で、香水や洗剤のにおいで気分が悪くなる
この場合、刺激の「入力段階」から強烈すぎるため、刺激を軽減する対策が必要になります。
易刺激性と感覚過敏の違い
二つの状態は外から見ると似ていますが、実際には違う仕組みが関わっています。
- 感覚過敏
- 入ってくる刺激そのものが「強く」感じる
- 易刺激性
- 入ってくる刺激に対しての「反応が強く」なりやすい。
たとえば、人混みで耳をふさいでいる人がいたとします。感覚過敏なら「音が大きすぎてつらい」からふさいでいる場合が多いですが、易刺激性なら「音に対して我慢ならない」ために耳をふさいでいるのかもしれません。
気にならない人との比較
「気にならない人」と当事者では、どんな違いがあるのでしょうか。
光の刺激
- 気にならない人
- 強い日差しや逆光で、一時的にまぶしいと感じることがあります
- 感覚過敏のある人
- 日の光や蛍光灯のちらつき、ノートの白い部分などでも、常にまぶしいと感じることがあります
音の刺激
- 気にならない人
- 工事現場や花火大会の大音量で耳をふさぐことがある
- 感覚過敏のある人
- 日常の小さな物音(キーボード音や食器のぶつかる音)でも強く不快に感じることがある
イライラとの関係
- 気にならない人
- 大きなストレスや疲労でイライラすることが多い
- 当事者
- 感覚過敏や易刺激性の影響で、日常の小さな刺激からもイライラにつながりやすい
気にならない人が「たまに感じる程度の疲れ」を、私は毎日の生活で繰り返し体験しているように思います。それが積み重なって、イライラや不安につながりやすいと感じています。
ASD以外で見られるケース
感覚過敏や易刺激性は、ASDの特徴として語られることが多いですが、実はそれ以外の状態でも見られます。
- 不安障害やうつ病
- 強い不安やストレスの影響で、普段なら気にならない音や光が耐えられなくなることがあります。
- PTSD
- 過去の体験に結びついた刺激(匂い・音など)に強く反応することがあります。これは「過敏さ」とも「トリガー反応」とも言えます。
- HSP(繊細な気質)
- 医学的診断名ではありませんが、感受性が強く、周囲の小さな変化にも反応しやすい人を指す言葉として使われます。ASDとは異なりますが、共感する部分がある人も多いです。
私自身も、体調が悪いときには「普段なら気にならない音」でもつらくなることがあります。ASD特性だけでなく、疲れや心理状態でも感覚は変化するのだと思います。
ASD当事者の気づき
感覚過敏は、普通の人がなんとも思わない五感などの感覚が鋭く、それが弊害になっていることの話で、易刺激性は疲れてしまったりなど、マイナス面に反応しやすいことだと私は理解しています。
ただし、もしかしたら違うかもしれません。
ASDの人にはあるあるの話かもしれませんが、私は内臓感覚の過敏鈍麻があり、少し困ることがあります。
私は、ASDは「情報処理能力の違い」によって説明できる部分が大きいと日ごろから感じています(これは個人的な考えです)。
感覚過敏や感覚鈍麻も、情報の処理の仕方や能力によって、結果として現れているのかもしれません。
私はイライラすることがあるときに、「自分は情報をうまく整理できていない」と意識するだけでも少し楽になることがあります。
たとえば、会話が聞こえてきたことでイライラするときも、「声が音としてつらいのか」「聞こえてくる内容に対してなのか」「話している相手への印象なのか」と分けて考えると、イライラの正体が見えやすくなり、イライラすることが減ったと実感しています。
これは「ラベリング」と呼ばれる方法なのかもしれません。自分の中で「これは音が原因」「これは情報の多さが原因」と説明できると、イヤホンを使って回避したり、周囲に伝えたりするなどの具体的な対策がとりやすくなります。結果として、ただの「イライラ」で終わらず、対応の幅が広がる実感がありました。
まとめ
- 感覚過敏は「刺激の強さが鋭すぎる」状態のことです
- 易刺激性は「怒り・不機嫌が出やすい」状態のことです
- ASDには両方が重なることも多い傾向にあります
- 外から見える行動は似ていても、背景は違う可能性があります
- 普通の人も疲れる場面はあるが、当事者は日常的に負担が大きい傾向があります
- 不安障害やHSPなど、ASD以外の状態でも似た現象が起こることがあります
イライラや疲れの背景を「感覚過敏」と「易刺激性」に分けて理解することで、自分に合った工夫や周囲へのお願いがしやすくなります。違いを知ることは、より安心して暮らすための一歩になると思います。
おわりに
「音が気になってイライラしてしまう」「光が強すぎて頭が痛くなる」など、そんな体験は、誰にでも少しはあると思います。
ASD(自閉スペクトラム症)に限りませんが、それが日常生活に大きな影響を与えるほど強く現れることがあります。
この記事では、易刺激性と感覚過敏の違い、そしてASD当事者が実感する「イライラとのつながり」について整理しました。
似ているように見える二つの現象ですが、「感じ方」と「処理のしんどさ」を区別して考えることで、生活や人間関係のヒントにつながると思います。
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